中山間地における有機農業の新しいビジネスモデル構築
〜農業はフツーの産業に近づかなければならない〜
(株)ビオファームまつき 代表 松木一浩氏
2010年農林業センサスによると、農業就業人口は260万人となり、85年の543万人から25年で半減した。 農家の平均年齢ははじめて65歳を超え、耕作放棄地もついに40万haに達した。 耕作放棄地のほとんどは中山間地である。 日本の農地の約7割が中山間地といわれる状況において、中山間地で農業をベースに食べていけるビジネスモデルが作れないと、この現状を維持していくことすら難しいと感じている。
農業の世界に足を踏み入れて15年、日本農業を力強く推進していく術はふたつあるというのが今の私の考えである。 ひとつのイメージは集落営農のような形。 大規模化して組織化、省力化、効率化、システム化をはかり、生産性を高めていく方法。 作物はモノカルチャーであり、そこに経営資源を集中させることにより収益を高めていく。 もう一方は高付加価値的な農業である。これにはふたつあってそれが生産ベースであるならば、施設栽培により、より高品質、差別化できるものを栽培していく方法、そして最後が6次産業化的農業である。 後者ふたつにおいては中山間地での営農が可能であり、本来マイナス要因である中山間地(里山)という地理条件をプラス要因にできる可能性を多分に秘めている。
講演会での内容;
第9回SLF講演会が6月27日、東京大学柏キャンパス総合研究棟6階会議室で行われた。講師の松木一浩・ビオファームまつき会長が「中山間地における有機農業の新しいビジネスモデルの構築」をテーマに講演。76人の聴講者が熱心に耳を傾けた。講演要旨は以下の通り。
私は静岡県富士宮市で、有機農業を主体とした中山間地の農業の6次産業化を目指して、新しいビジネスモデル構築に取り組んでいる。私は農業一筋でやってきたわけではなく、フランスや東京の高級レストランで給仕長などの仕事をやっているうち、有機農業に興味を持ち、37歳で農業に転換した。
私が住んでいる富士宮市の旧芝川地区は里山に囲まれた中山間地だから、大規模耕作は不向き。23か所に分散した農地(計4ヘクタール)で年間65品目の野菜作りに取り組んでいる。採れた野菜は、関東地方の消費者を主体に150か所以上に7〜9種類の野菜を段ボール箱に詰めて宅配。直営のレストランで新鮮な野菜を提供している。さらに野菜の加工食品を販売するデリカテッセンも経営している。こうして付加価値を付けた野菜の加工・販売も可能になった。
少量多品目栽培のメリットは、@自給ができるA天候や価格変動によるリスクが小さくなるB売上げが安定する、などの特徴がある。市場の規格に合わない野菜を漬物などの加工食品に利用したり、レストランの客の反応を見て、どんな野菜が好まれるかが分かる。農業生産者が消費者と直接コミュニケーションをとれる「地産地消型」の農業が実現できた。
本来第一次産業に分類される農業に、食品加工(第二次産業)と流通・販売(第三次産業)を組み合わせた6次産業(第一次の1と第二次の2に第三次の3を足した数字の6をもじった造語)が、衰退する中山間地の農業の活性化を促す効果があることが分かった。若者の農業離れが激しく、後継者不足から休耕地が増えていく農村を放置しておいては、我が国の食糧自給率はますます低下する一方だ。
私の会社では、全国から集まった7人の若いスタッフが意欲的に仕事に取り組んでいる。平均年齢は27歳だ。農業の将来性に期待をつなぐ非農家の若者たちが増えている。こうした若者たちと共に、新しい有機農業のビジネスモデルを作ろうと、農業改革に汗を流す毎日が続いている。
2014年5月23日
主催:一般社団法人セカンドライフファクトリー
後援:東京大学高齢社会総合研究機構
第9回セカンドライフ講演会および情報交換会のお知らせ
第9回セカンドライフ講演会のご案内を申し上げます。セカンドライフファクトリー会員や一般ご来場の皆様に就労に役立つ様々な内容で勉強会を今後とも開催していきます。
皆様の積極的なご参加をお待ちしています。
■ 日 時 平成26年6月27日(金)14:00〜16:00(13:30開場)
■ 場所 東大柏キャンパス総合研究棟6階会議室
■ 内容 14:00〜15:15 講演「魅力ある新しい農業の形一農業6次化で面白いことをやろう」
講師:株式会社「ピオフアームまつき」代表取締役 松木一浩氏
15:20〜16:00 情報交換会:就労に関する情報提供、講演会のお知らせ等
■ 資料代 会員 500円 (非会員700円)当日会場にて徴収させていただきます
■ 申し込み 以下のいずれかの方法でお申し込み下さい。
*会員の方はID番号をご明記下さい
*非会員の方はご住所、電話番号、eメールアドレス(お持ちの方のみ)をご明記下さい
@ 下の申込用紙で
A ホームページ上の申し込みサイトから
B eメールで:info-slf@jcom.home.ne.jp宛て(件名:第9回講演会申込)
C ファクスで:04-7100-8023
D はがきで:〒277-0772柏市柏の葉5丁目4−6東葛テクノプラザ613
セカンドライフファクトリー宛て
■ 申込期限 2014年6月20日(金)
■ お願い *ご来場の際は、公共交通機関をご利用願います。
@ 駐車場はご用意できません。
A 最寄のバス停は国立がん研究センターまたは東大前です。
B 自転車で来場される方へ:
会場玄関前の案内係の指示に従ってください。(指定駐輪場をご案内します)
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年 月 日
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