本講演では,地域社会が抱えている問題を“地域の力”によって解決している2つの事例を取り上げ,それぞれの地域社会において,(1)どのような活動がなされてきたのか,(2)なぜそのような活動が可能であったのかを,みなさんと一緒に考えたいと思います。事例としては,行政に頼らないむらおこしで全国的に有名になった鹿児島県鹿屋市近郊の「やねだん」と,東日本大震災の大津波によって甚大な被害を受けた岩手県上閉伊郡大槌町吉里吉里を取り上げる予定です。これら2つの地域社会の“地域の力”を,Social Capitalをキーワードに読み解きたいと思います。
第6回SLF講演会が3月28日、東京大学柏キャンパス総合研究棟6階会議室で行われた。浅川達人明治学院大学社会学部教授が「地域の問題解決に必要な“地域の力”とは?」というテーマで講演し、78人の聴講者が熱心にメモを取りながら、耳を傾けた。講演要旨は次の通り。
東日本大震災による大津波で壊滅的な被害を受けた岩手県大槌町で見た被災者の復興に取り組む姿を見て回ったとき、湾岸部の「吉里吉里」地区では、小学校の校庭に、被災者たちが穴を掘り、架設トイレを設営するなど自助努力の姿が数多く見られた。自衛隊が救助物資や医薬品、食糧などを空輸するためのヘリポートを住民たちが力を合わせて設営していた。また、車に給油するための手動式くみ上げポンプを作り、急場をしのいでいた。
2014年2月の大雪直後に同地区を訪れた時も、重機を持つ住民たちが早朝に小中学校に向かう通学路を除雪。地域の主要道の除雪も完了していた。震災でも大雪でも、地区住民たちボランティアで復旧に取り組む姿が目に付いた。
鹿児島県鹿屋市では、行政に頼らずに、住民たちで「村おこし」に成功した。鹿屋市の串良町は人口130世帯、300人、高齢化率30%強という集落で、「やねだん」地区と呼ばれた。ここに東京で銀行員をしていた豊重哲郎氏が弱冠55歳で公民館長としてUターンしてきた。この豊重氏こそ、やねだん地区の村おこしの原動力となった人である。
豊重氏はまず、地元の高校生たちに「サツマイモ作り」を呼びかけた。「みんなでサツマイモ栽培で儲けを出せたら、東京ドームにオリックスのイチロー選手を見に行こう」と呼びかけた。この呼びかけに高校生12人が協力。休耕地30アールを使って、サツマイモ栽培を始めた。父母や祖父母たちも手伝ってくれたおかげで、初年度は35万円の収益金が出せた。この収益金から一人暮らしのお年寄りたちの自宅に設置する緊急通報装置を購入することも出来た。
豊重氏は住民たちの情報共有が大切と考えて、やねだん地区の全戸に無線放送の受信機を設置して、「母の日」「父の日」「敬老の日」など特別の日に、故郷を離れて暮らす若者たちの声を放送した。地元では「メッセージ放送」と呼んでいる。
次に豊重氏が取り組んだのは、住民総出の運動公園「わくわく運動遊園」の建設だった。公共施設は自治体が作るのが当たり前とされているが、やねだん地区では、集落の人たちが丸太や角材を持ち寄って、大工や左官、造園などの技術を持つ住民たちがボランティアで奉仕してくれた。
こうした活動と並行して、「自主財源の確保」にも努力した。土中の微生物を使って、「土着菌」を増やして、家畜のえさに混ぜてやると、排せつ物の悪臭が抑制される。これが好評で、良く売れるようになり、年間3万キロを販売し、約200万円の売り上げを得ている。
やねだん地区では、自主財源から全戸に1万円のボーナスを支給。さらに高齢者用の歩行用具や緊急警報装置を配布したり、寺小屋教育まで行っている。また、古民家を改造して、ギャラリーを作り、全国のアーティストに移住しないかどうかを呼びかけて、画家が住み込んでいる。また、外部から見学に来る人たちに宿泊出来るようにしている
岩手県大槌町の「吉里吉里」地区や、鹿児島県鹿屋市のやねだん地区に共通する「地域の力」は、住民たちが「信頼と互酬性」に基づいて、村おこしの計画をたたて、ボランティア活動で、計画を推進している姿だった。こうした中で人づくり、ネットワークが築かれていった。
2014年2月28日
各位
主催:一般社団法人セカンドライフファクトリー
後援:東京大学高齢社会総合研究機構
第6回セカンドライフ講演会および情報交換会のお知らせ
第6回セカンドライフ講演会のご案内を申し上げます。セカンドライフファクトリー会員や一般ご来場の皆様に就労に役立つ様々な内容で勉強会を今後とも開催していきます。
皆様の積極的なご参加をお待ちしています。
■ 日 時 平成26年3月28日(金)10:00〜12:00(9:30開場)
■ 場所 東大柏キャンパス総合研究棟6階会議室
■ 内容 10:00〜11:15 講演「地域の問題解決に必要な“地域の力”とは」
講師:明治学院大学教授 浅川達人氏
11:20〜12:00 情報交換会:就労に関する情報提供、講演会のお知らせ等
■ 資料代 会員 500円 (非会員700円)当日会場にて徴収させていただきます
■ 申し込み 以下のいずれかの方法でお申し込み下さい。
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@ 下の申込用紙で
A eメールで:info-slf@jcom.home.ne.jp宛て(件名:第6回講演会申込)
B ファクスで:04-7100-8023
C はがきで:〒277-0772柏市柏の葉5丁目4−6東葛テクノプラザ613
セカンドライフファクトリー宛て
■ 申込期限 2014年3月21日(金)
■ お願い *ご来場の際は、公共交通機関をご利用願います。
@ 駐車場はご用意できません。
A 最寄のバス停は国立がん研究センターまたは東大前です。
B 自転車で来場される方へ:
会場玄関前の案内係の指示に従ってください。(指定駐輪場をご案内します)
以上
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