東大(IOG:東京大学高齢社会総合研究機構)の就労セミナーから生まれた 

講演会ご案内

 第10回講演会



 講演概要

 

「高齢化と交通問題-小さな車で社会が変わる」

                 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 特任研究員 久保 登氏

我が国は現在、65歳以上の高齢者が全人口の1/4程度となる「超高齢社会」となっています。そのため、今後は高齢者も含めて無理のない外出・移動による活動的な生活を送れるような社会づくりが、ますます必要となります。

自宅周囲の「日常生活圏」は、歩いていける範囲よりも多少遠い範囲(片道210km程度)なので、この範囲の往来が便利であれば、日常生活も活動的に保てることになります。ところがこれまで、我が国ではこの程度の距離の往来というのは自転車か自動車(自家用車やバス・タクシーなど)にほぼ限られていて、不便なこともままありました。

今回は、自転車と自動車の中間にあたるような、1人から2人乗りの「超小型モビリティ」と呼ばれる小さな電気自動車を取り上げて、いろいろな使い道を見つけることで、社会全体を便利にする研究についてお話しします。

講演会の内容

10回SLF講演会が725日、東京大学柏キャンパス総合研究棟6階会議室で行われた。講師の久保登・東京大学大学院新領域創成科学研究科特任研究員が「高齢化と交通問題――小さな車で社会が変わる」をテーマに講演。

60人の聴講者が熱心に耳を傾けた。講演会終了後、同キャンパス内で、超小型電気自動車の見学会も行われた。講演要旨は以下の通り。

65歳以上の高齢者が全人口の4分の1程度となる超高齢化社会では、高齢者が無理なく外出・移動でき、活動的な生活を送れることが重要だ。ところが自宅周囲の日常生活圏(片道2〜10q)内の移動には、今のところ自転車か自動車に限られており、非常に不便。しかも公道を走れる4輪乗用車は1種類しかないので、青森や鹿児島まで走れる高級乗用車で、近所に出かけるという不合理な状況になっている。まるでヒマラヤ登山用の最高級登山靴で、近所に外出する状態だ。

そこで、高齢者が乗りやすい超小型電気自動車(1人乗りまたは2人乗り)が日常生活圏内の移動手段として、近年注目されている。ガソリンを燃料とする超小型車は第2次大戦後から多くの種類が市販されている。二人乗りのタイプが多く、横に並んで乗車するタイプと、縦に並んで乗車するタイプの2種類がある。私たちの研究室では、縦型のタンデム式小型車が車幅が狭いので、@狭い道路の走行や車庫入れがし易いA通常の駐車スペースに4台駐車できるB畑や山林でも作業できる――などの利点があることに着目した。

私たちは、タンデム式小型車の長所・短所を調べるため、トヨタ自動車の電気自動車「コムス」の車体を使って、いくつかの超小型車を試作した。雑木林の手入れや農作業に使える「山コムス」、畑でトマトを収穫できる「トマコムス」は、タイヤに凹凸のついたオフロードタイプにした。車イス利用者が乗りやすい「ケアコムス」には、車の後部に車いすを掛けられるフックを取り付けた。母親が後部座席に二人の子供を乗せて、運転できる「ママコムス」は、自転車の前後に子供を2人乗せる危険性を軽減できると期待される。

これらの試作車両を実際に使ってみた結果、山コムスは軽トラックが入れないような狭くて、柔らかな里山でも、100sの薪を運搬したり、50sの丸太を引き出すことができた。トマコムスは、畑の狭いあぜ道をトマトを載せて走れるので、「収穫作業がやり易い」と農場主に好評だった。ケアコムスは、車イス利用者を駐車スペースの狭い病院に送迎するのに便利だった。ママコムスは車の形がスマートで、子供を乗せて保育園に送迎したり、買い物に行くのに便利という感想が寄せられた。

駅前商店街や昔から営業している「旧町商店街」の悩みは、店の駐車場が狭くて、買物客に敬遠されることだ。その結果、閉店に追い込まれ、「シャッター通り」になってしまう。高齢者が、広い駐車場を持つ郊外の大型商業施設まで出かけるのは大変だ。そこで、超小型車で近所の商店街に行けるようになれば、街の活性化につながる。

超小型電気自動車が普及すれば、高齢者を含めた市民が気軽に移動できるようになり、世代や地域が活性化することが期待できる。農林業に活用すれば、定年退職後の余暇利用や就労の機会につながり、農林業の活性化も期待できる。さらに環境面でも、排ガスの出ない電気自動車は、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の低減につながる。

  

  20146月27

主催:一般社団法人セカンドライフファクトリー

後援:東京大学高齢社会総合研究機構

10回セカンドライフ講演会および情報交換会のお知らせ

10回セカンドライフ講演会のご案内を申し上げます。セカンドライフファクトリー会員や一般ご来場の皆様に就労に役立つ様々な内容で勉強会を今後とも開催していきます。

皆様の積極的なご参加をお待ちしています。

日 時  平成26年7月25日(金)10:00〜1200(930開場)

場所  東大柏キャンパス総合研究棟6階会議室

内容  10:0011:15 講演「高齢化と交通問題一小さな車で社会が変わる

                     講師:東京大学大学院 新領域創成科学研究科 

                  特任研究員 久保 登氏

11:2012:00 情報交換会:就労に関する情報提供、講演会のお知らせ等

資料代   会員  500円 (非会員700円)当日会場にて徴収させていただきます 

■ 申し込み       以下のいずれかの方法でお申し込み下さい。

         *会員の方はID番号をご明記下さい

         *非会員の方はご住所、電話番号、eメールアドレス(お持ちの方のみ)をご明記下さい

@ 下の申込用紙で

         A ホームページ上の申し込みサイトから

B eメールで:info-slf@jcom.home.ne.jp宛て(件名:10回講演会申込)

         C ファクスで:04-7100-8023

D はがきで:〒277-0772柏市柏の葉5丁目4−6東葛テクノプラザ613

        セカンドライフファクトリー宛て

■ 申込期限  2014718日(金)

■ お願い *ご来場の際は、公共交通機関をご利用願います。

@ 駐車場はご用意できません。 

A 最寄のバス停は国立がん研究センターまたは東大前です。

B 自転車で来場される方へ:

会場玄関前の案内係の指示に従ってください。(指定駐輪場をご案内します)

 

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年  月  日

10回セカンドライフ講演会および情報交換会に参加を申し込みます。

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一般社団法人
 セカンドライフファクトリー

〒277-0882
千葉県柏市柏の葉5丁目4番6号 東葛テクノプラザ613

TEL 04-7100-8023
FAX 04-7100-0158

メール:info-slf@jcom.home.ne.jp

 関連団体

◇SLF ガーデンサポート


◇プチカル柏の葉


◇暮らしの支援・えんがわ